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ファンダメンタルズ分析

解説:平田 啓(ひらた・けい)
株式会社フィナンシャルエクセレンス 代表取締役
関西大学大学院商学研究科『外国為替論』講師

1993年(株)日短AP(現セントラル短資)に入社し、翌94年通貨オプション・ブローカーとして業界トップの営業成績をおさめる。95年ウォール街のオプション専門会社B.C.M.Gにヘッドハントされ渡米。日本円に関わる通貨オプション取引責任者を務める。現在FXやCFDを中心とした個人投資家向けセミナー講師やレポート・書籍・記事執筆などを中心に様々なメディアで活躍中。
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外国為替市場(為替相場)の実態

左側は2007年度の国別GDP比率を表しています。日本は依然世界第2の経済大国です。しかし、いまやユーロという通貨に加盟する経済圏が欧州に出現し、それらの国々のGDPを合計すると、図1右側のように世界全体の24%にもなり、アメリカとほぼ変わらない規模になっています。

つまり、世界の経済勢力図がユーロの台頭で完全に塗り替えられ、世界一の経済大国アメリカにとって脅威なのは、もはや日本ではなくユーロ圏なのです。 アメリカにとってユーロ圏の次に脅威なのは、日本ではなく成長著しい中国で、事実アメリカの最大貿易赤字国はすでに日本ではなく、中国にとって替わられているのです。

こういった世界経済勢力図の大転換が、外国為替市場にも如実に表れています。図2は世界で取引されている外国為替市場全体の通貨別取引高です。ご覧のように米ドルが43.1%と圧倒的なシェアを占めます。つまり、外国為替市場全体を把握しようする場合には、まず米ドルの状況と世界経済の中心であるアメリカの経済状況・金融政策などを把握することが第一となります。 

次に通貨別取引高第2位のユーロのシェアは18.5%にものぼり、米ドルのシェアを合わせると61.6%にもなります。つまり、米ドルの次に今や第二の基軸通貨とまで言われるようになったユーロの状況や、欧州の経済状況・金融政策などを把握しなければなりません。

通貨ペアで言うと、ユーロドル市場動向を把握することで、外国為替市場全体を見渡すことが出来るようになります。最近日本の円は、日本経済状況を反映すると言うより、アメリカのドルと欧州のユーロの狭間で方向感を失い、フラフラしていることが多くなりました。図3は2009年1月~12月までのユーロドルとドル円の推移を重ねたものですが、青線のユーロドルでドル安が起きるとピンク線のドル円もドル安が生じ、ユーロドルでドル高が起きるとドル円でもドル高が生じていることがお分かり頂けるでしょう。

つまり、外国為替市場動向全体を把握しようと思うのなら、
1) 欧米の経済事情
2) 米ドル・ユーロそれぞれの行方
3) ユーロドル市場の動向

という点を押さえる必要があるのです。

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欧米の経済事情のとらえ方

欧米の特に米国の経済事情がどうなっているのかを把握しなければならないのですが、これには多少のマクロ経済学の知識が必要になります。ファンダメンタルズ(経済諸事情)分析とは、『経済政策』や『経済指標』の動向を把握することなので、それぞれがどういった意味を持つのかをまず理解しましょう。

図4は経済政策や経済指標についてマクロ経済を理解するイメージ図です。 このように経済政策には、『財政政策』と『金融政策』があります。為替政策も経済政策の1つですが、常に政策が講じられるものではないので、一般的に経済政策と言えば、財政政策と金融政策を指します。



経済政策と経済指標は、健康診断とその結果に対する対処法の関係に似ています。健康診断では体温・血圧・脈拍など検査をして、何か異常が見つかったら治療を施し、何も異常がなければ健康を維持できるよう予防したり、健康を促進するよう適度な運動をします。これと同様に、失業率・インフレ率・鉱工業生産など国の経済的健康状態を表す各種経済指標を検査して、何か異常が見つかったら経済政策を施し、何も異常がなければ経済的健康状態を維持・促進できるよう同じく経済政策によって図るのです。このような関係にあるので、外国為替市場への影響で考えると、各種経済指標よりもそれに対する処方である経済政策の方が圧倒的に大きいのです。

財政政策は財務省、金融政策は中央銀行がそれぞれ担当しています。財政政策・金融政策ともに、1)物価の安定、2)雇用の創出、3)経済成長という目標を達成するために舵取りが行われています。国がこれら3つの目標を達成するために経済政策を思案している訳ですから、外国為替市場参加者もこの3つの目標に関係の深い経済指標が注目します。1)の「物価の安定」に近い経済指標と言えばインフレ率(物価上昇率)、2)の「雇用の創出」には雇用統計・失業率、3)の「経済成長」はGDP(国内総生産)です。 

ドル円市場の歴史から見ると、2)の「雇用の創出」や3)の「経済成長」に関する経済指標によって、外国為替市場が大きく変動するということはありませんでした。毎月第一金曜日にアメリカの雇用統計と失業率が発表される度に、外国為替市場が反応し、短期的に見るとしばしば市場を動かす要因にもなっていることを考えると、意外な結果かもしれません。

金融政策(金融引締<利上げ>政策、金融緩和<利下げ>政策)

ドル円市場の歴史を見ても、アメリカの金融政策が市場の大きな流れを生み出してきました。事実、図5は1973年変動相場制移行以来、ドル円とアメリカの政策金利であるFF(Federal Fund)レートの推移を示したものですが、アメリカが継続的な金融緩和(利下げ)政策によってドルが円に対して急激に価値を下げる超ドル安/円高を演出し、継続的な金融引締(利上げ)政策によってドルが円に対して価値を上げるドル高/円安を誘発してきたことが確認できます。

では、この金融政策がどのように舵取りされるのかを理解するために、そもそも金融政策とは何なのか理解しましょう。金融政策には、1)政策金利操作、2)公開市場操作、3)法定準備率操作の3つの手段があります。その3つの手段を通じて世の中に出回るマネーの量を調節し、国の経済的な3つ目標、物価の安定・雇用の創出・経済成長を実現しようとしているのです。但し、3)の法定準備率操作が行われるのは稀なので、市場参加者の注目する政策にはなっていません。 

景気が良い時には1)の政策金利の引き上げ、つまり金融引締(利上げ)政策によって、市中に供給されているマネーを吸い上げ、反対に景気が良くない時には1)の政策金利の引き下げ、つまり金融緩和(利下げ)政策によって市中に供給するマネーを増やそうとします。 

1)の中央銀行が決定した政策金利に近づけるために行われているのが、2)の公開市場操作です。公開市場操作とは、中央銀行が短期金融市場を通してマネー供給量を調節することです。短期金融市場とは1年未満の短期資金の取引を行う市場で、銀行同士が取引を行うインターバンク市場と、その他の金融機関や一般企業なども取引が行えるオープン市場があります。

前者で取引されている金融商品には無担保コール・レート、有担保コール・レート、手形があり、後者で取引されている金融商品には、TB(Treasury Bills、割引短期国債)、FB(Financing Bills、政府短期証券)、CP(Commercial Paper、コマーシャル・ペーパー、CD(negotiable Certificate of Deposit、譲渡性預金証書)、債券現先、債券貸借(レポ)などがあります。 マネー供給量を増やす場合、つまり景気が上向くよう対策を講じる場合には、中央銀行はオープン(公開)市場のTB・FBなどを買い入れます。 これを「買いオペレーション」と呼びます。 逆に、マネー供給量を減らす場合、つまり景気過熱感を冷ますよう対策を講じる場合には、中央銀行はTB・FBなどを売って市場からマネーを吸い上げます。これを「売りオペレーション」と呼びます。

財政政策(減税、公共投資、レーガノミックス)

そもそも財政政策とは、政府の歳入(税金・国債発行など)と歳出(公共投資、社会保障費など)をコントロールすることです。国民から徴収した税金を元に、道路や下水道などインフラ整備といった公共投資を行ったり、医療・年金・介護・生活保護など社会保障費を賄っています。税収で賄えない分は、政府が国債を発行し、借金をして補っています。そして、金融政策と同じく1)物価の安定、2)雇用の創出、3)経済成長という3つ目標を達成しようとしています。 

不景気の時には、減税することで国民が消費しやすい環境を整えると同時に、公共投資を増やすことで、直接公共事業の受注を得た企業は利益が増え、投資・消費・雇用を促進させることが出来ます。但し、国の財政赤字は拡大します。反対に、景気が過熱ぎみになると、増税することで国民の消費を抑えると同時に、公共投資を減らすことで、企業の利益を抑え、投資・消費・雇用を抑制することが出来ます。国の財政も赤字縮小、あるいは黒字にすることが出来ますが、景気が後退してしまわないよう舵取りが肝心です。

こうした政府による景気対策は不要であると考えられていた時代がありました。 古典派経済学者アダム・スミスの著書「国富論」では、経済には自助作用があり、一時的な不景気は自然に回復する、いわゆる"神の見えざる手"が働くので、政府は何もすべきではないという考え方が主流だったのです。 

しかし、1929年以降世界は大恐慌に陥り、経済の自助作用に任せていると一向に回復しなかったので、イギリスの経済学者ジョン・メイナード・ケインズが、不況の時には政府支出を増やして景気回復対策を講じないといけないと主張したのです。 その考え方を全面的に取り入れたのが当時アメリカの大統領だったフランクリン・ルーズベルト氏で、公共投資を軸としたニューディール政策と呼ばれる一連の経済政策を推進しました。最終的にアメリカの景気回復の決め手となったのは、第二次世界大戦への参戦、軍事産業を中心とする経済発展だったのですが、これ以降現在に至るまで世界各国の景気対策はおおよそケインズの考え方が踏襲されています。

外国為替市場参加者が注目するのは、結局財政政策が金利へどのような影響を及ぼすかということです。例えば政府が景気刺激対策として、減税と公共投資増大を図ったとします。これは世の中に出回るマネー供給量を増やすことになるので、金利は下がるという見方も出来ます。逆に減税によって歳入が減少し、公共投資によって歳出が増加するということは、国債を発行して国の借金の増大を伴うので、金利は上がるという見方も出来ます。 

実はこれは経済学者の間でも意見の分かれる所で、前者はケインズ学派の『クラウディング・イン(Crowding-In)』、後者をマネタリスト学派の『クラウディング・アウト(Crowding-Out)』という考え方なのです。 実際、財政政策の金利への影響は判断しづらく、それよりも金融政策による金利への影響の方が大きいので、外国為替市場参加者の注目度も一般的に財政政策よりも金融政策の方が高いのです。

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