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外国為替市場(為替相場)の季節性要因

解説:平田 啓(ひらた・けい)
株式会社フィナンシャルエクセレンス 代表取締役
関西大学大学院商学研究科『外国為替論』講師

1993年(株)日短AP(現セントラル短資)に入社し、翌94年通貨オプション・ブローカーとして業界トップの営業成績をおさめる。95年ウォール街のオプション専門会社B.C.M.Gにヘッドハントされ渡米。日本円に関わる通貨オプション取引責任者を務める。現在FXやCFDを中心とした個人投資家向けセミナー講師やレポート・書籍・記事執筆などを中心に様々なメディアで活躍中。
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外国為替市場(為替相場)の四季を把握する必要性

波打ち際のサーファーが突然の大波に飲み込まれるかのごとく、ある時点までうまくいっていた個人投資家が突然の相場の変化に飲み込まれることが多いのは何故でしょう。

サーファーは、海岸に打ち寄せる波に乗ることに努めます。波打ち際に打ち寄せる小波と戯れる子どもを見ても分かる通り、小波のリズムはとらえやすく、初心者のサーファーでも小波には比較的容易に乗ることも出来るでしょう。 しかし、小波ばかりに乗っていては、サーファーとして大したパフォーマンスを披露することはできません。プロのサーファーというのは、何でもかんでも波に乗るのではなく、乗る波を選んだ上で、素晴らしいパフォーマンスを見せるものです。 それにはまず四季のうち季節はいつで、天候はどういう傾向になっていて、海流・潮流あるいは風向きなど季節性や天候状況を確認します。こうした準備を怠ると、素晴らしいパフォーマンスどころか、突然の大波に飲み込まれるといった事故にまで遭ってしまいます。つまり、大局を掴んだ上で乗る波を選んで、素晴らしいパフォーマンスを披露しているのです。

こうした準備は個人投資家も必要です。目先のほんのわずかな値動きにだけ集中すると、予測はしやすく、数銭といった利ざやを獲得することは比較的容易にできます。しかし、それではたとえ勝率を上げることは出来たとしても、獲得できる利ざやは限定的です。 

そこでプロ・サーファーが乗る波を選ぶがごとく、個人投資家も乗るトレンドを見極めなければなりません。外国為替市場の季節性や相場状況を把握しなければならないのですが、こうした準備を怠っているため、小波には乗れるものの、大波を逃したり、あるいは飲み込まれたりする個人投資家が後を絶たないのです。 

ここでは外国為替市場という戦場に参戦するために必要な準備、つまり市場の季節性についてご紹介したいと思います。

外国為替市場(為替相場)の四季

外国為替市場は98%が外国人というとても偏りのある金融市場です。BIS( Bank for International Settlements)による2007年の調査報告書によると、外国為替取引高世界一はロンドン市場でシェアは全体の34.1%、2位はニューヨーク市場で16.6%、3位はスイスで6.1%、4位はかつて3位だった東京市場で6.0%です。6.0%の東京市場のシェアのうち、日本銀行の統計によると、約30%が日系銀行、約70%が外資系銀行なので、外国為替市場全体に占める日本人の割合というのは、1.8%(=6%×30%)に過ぎません。

同報告書によると、1998年インターバンク市場のシェアは全体の64%だったのが、2007年には43%までシェアを落としています。一方で、1998年には20%のシェアで、2007年には40%にまでシェアを伸ばしているのが、ヘッジファンドを含むその他金融機関です。つまり、外国為替市場全体に対するインターバンク市場の影響力は以前に比べると比較的小さくなり、今ではヘッジファンドなどその他金融機関動向も大きな影響力を持ってきています。

但し、インターバンク市場の60%以上のシェアを占める上位10行の影響力は今でも絶大です。その絶大な影響力を持つ銀行の外為ディーラーの雇用形態によって、外国為替市場は独特の四季感を持っています。

外資系銀行に勤める外為ディーラーは、プロ野球選手やプロ・サッカー選手のように年契約になっていて、銀行と「これだけの運用資金を預けるから、1月から12月の間に何%のリターンをあげなさいよ。」という契約にサインしています。これによって、インターバンク市場上位10行の外為ディーラーも毎年1月に新しいポジションを組み、年末にその年のポジションをクローズし、契約を満たすリターンをあげられるよう努めているのです。

この契約形態によって、腕一本で活躍している上位10行の外為ディーラーも、年初から大きなポジションを持つことには躊躇するようです。その年の市場のトレンドを見極めながら徐々に勝負に出るのです。このため、1月に外為市場が大きく動くということはあまりありません。1月は様子見で、もみ合う展開になることが多いのです。

どっちつかずの相場も2月末~3月上旬頃にもなると、日本は会計年度末、欧米も第一四半期決算を迎えるので、株式市場の喧騒から外為市場も少しずつ眼を覚ます時期になります。3月末までに相場のひと山(円高・円安などのトレンドが出ること)を越すこともあります。しかし、1年が終わってみるとこの時期に出たトレンドと逆の展開となっていたということは珍しくありません。 

例えば2007年と2008年のドル円市場は、2007年2月下旬にチャイナ・ショックによる円高となりましたが、その後8月のサブプライム問題までは円安となっていました。 また、2008年は3月にベアスターンズ・ショックによる円高となりましたが、その後9月のリーマン・ショックまでは円安となっていました。

上位10行の外為ディーラーは、1~3月期の外為市場の反応をじっくりと観察し、その年のトレンドを見極めているのではないかと思われます。そして、4月頃から大きなポジションを持つようになり、外為市場もその年のトレンドを明確に表すようになります。各銀行の取引の詳細までは把握できないので、大きなポジションを持つ時期についてはあくまで憶測の域を超えないのですが、BISが3年に1度外国為替市場調査を行う基準月を4月にしているのも、外為ディーラーの雇用形態やポジションを大きく持つ時期が影響しているように思われます。

4月は欧米ではイースター、4月末に日本ではゴールデン・ウィークというそれぞれ祝日があります。相場が閉まる欧米の祝日に、通常の平日である日本で出勤していると不思議と祝日出勤している気分になるのは外為関係者特有の感覚ではないでしょうか。逆に日本が祝日でも欧米が休みでない時は、相場は容赦なく動き、時折海外勢はあえてそういう日を選んでしかけてくるので、あまり悠長にはしていられません。過去には日本の外為ディーラーが休みのゴールデン・ウィークを狙って、ドル円相場に投機をしかけてくることもしばしばありました。

5・6月は株式市場で3月期の日本企業の決算が続々発表され、日本にいると1年で最も金融マーケットが盛り上がっているように感じる時期です。メディアでは、「XX会社の決算発表を好感し、円が買われる展開となりました。」や「△△会社の業績から失望感が広がり、円も売られました。」などと報じられることもあり、外為関係者としては「ほんとかな!?」と、耳を疑ってしまうニュースもなきにしもあらずです。 

この時期メディア報道デスクは決算発表に追われるあまり、株式市場中心に世界が回っている錯覚を起こしているのではないかと思われるフシがあります。  確かに外為市場が株式市場の影響を受けることもありますが、日本の一企業の決算状況が世界中に市場参加者のいる外為市場に影響を与えるなんてことは滅多にありません。株式動向に無理矢理くっつけた感じの外為関連ニュースが流れてくると、「それは違うでしょ!?」と思いたくなります。

この時期外為市場は外為市場で重要な出来事が起こっているにも関わらず、株式関連ニュースは報道すべきことが目白押しなので、外為関係者としては少し疎外感を感じる時期でもあります。1998年外為取引が個人投資家に解禁される以前は、外為関連ニュースを見ていたのは数少ない業界人だけだったので、2円円高に振れて1円70銭円安に戻すといった大相場だった日でさえ、「今日は30銭円高で引けました」の一言で終わりというような扱いでした。しかし、解禁後は外為関連ニュースに注目する人も増えたので、以前に比べると扱いも良くなってきましたが、株式関連ニュースに比べるとまだまだな気がします。

7月・8月の夏場で、外為市場が最も世間と異なるのはお盆の1週間です。海外にはお盆という習慣がないので外為市場は通常通り取引が行われ、日本の外為市場関係者もこの時期にこだわって休みを取る人も少ないのです。私も独立後、外為市場関係者以外の方と接する機会が増えて、会社としてお盆休みを設けている日本の企業もあることを初めて知った程です。会社がお盆休みを設けている企業人から見たら、夏の最も暑い時期に働いている外為関係者は哀れに映るのかもしれません。

しかし、サブプライム問題の時のことを思い出してください。サブプライム問題が本格化する以前の2007年の3月から8月上旬にかけて、110円代前半から124円代に達するまでの円安が進みました。この頃、円安を後押ししていたのは「ミセス・ワタナベ」とニック・ネームを付けられた日本の個人投資家と見られていました。その日本の個人投資家が急激な円高で一気に息の根を止められたのが8月17日、つまりお盆の真っ最中でした。以前ゴールデンウィークなどを狙って、休暇中の日本のディーラーを苦しめてきた海外勢が、お盆休みで休暇中の日本の個人投資家を狙って仕掛けたと見ることは出来ないでしょうか。 もしそうでなくても、それくらい抜け目がないのが海外勢だと思っていて間違いはないでしょう。

9月になると3ヶ月の足(フォワード・オプションなどの決済日・権利行使日)が年末の12月にかかるようになります。外為市場の取引は3ヶ月以内の取引が多いため、少々気が早いのですが、年末や年またぎを意識し始める時期でもあります。一方、株式市場では9月末に日本企業の上半期決算、欧米企業も第3四半期決算もあるので、金融マーケット全体としては活気のある時期でもあります。

10月は3ヶ月の足がいよいよ年を越えるようになるので、外為取引は徐々に縮小し始める時期です。しかし10月は、ブラック・マンデーやプラザ合意など、歴史的に金融マーケットで劇的な事件がよく起きてきた月である上、アメリカ株式市場が統計的に見て最も暴落することの多い月でもあるので、外為市場関係者も警戒しながら企業の決算発表ニュースを眺めています。警戒しつつも、市場が落ち着いている時に外国人ディーラーなどは、翌月11月末の感謝祭(サンクス・ギビング)に実家(本国)に帰るかどうかや、年末・年始どこで過ごすかなんて話しを始める時期でもあります。

11月にもなると、外為ディーラーは利益確定売買の準備をする時期で、月末のサンクス・ギビングの頃にはポジションを全てスクウェア(ポジションをクローズ<手仕舞う>すること)にしてしまう人もいます。アメリカに5年滞在して分かったのですが、サンクス・ギビングは侮れません。日本人が正月になると家族で集まるように、欧米人はサンクス・ギビングになると家族で集まり、全米ひいては全欧米人が実家に向かって大移動をするので、その経済効果たるや計り知れないものがあります。大型連休にこぞって旅行に出かけるのは日本人だけかと思っていたのですが、欧米のこの時期の交通機関の混み具合は、日本のそれをはるかに上回っているでしょう。多くの外国人ディーラーが、サンクス・ギビング前に利益確定売買を済ませ、1年に1度の家族・親戚との団欒を楽しんでいます。

サンクス・ギビング前、遅くとも12月上旬頃までには、ディーラー個々人の1年の総決算が行われています。12月は少し大げさな言い方をすると外国人ディーラーたちは働く気などさらさらなく、年末年始過ごす南の島でのバカンスのスケジュールの事で頭がいっぱいになっています。こういう点が、年末ギリギリまで仕事をする日本の金融マンとはとても対照的です。

外為市場に影響力を持つ世界有数の外資系銀行の外為ディーラーがその調子ですから、市場もすっかりオフになっています。12月に相場が動くことは珍しく、もし動いたとしても参加者が少ないからというだけなので、あまり動揺は広がりません。むしろその時期に取引しているのは、その年利益をあげられなかったディーラーだけなので、ほとんど相手にもされません。

年が明け1月になると、南の島でバカンスを楽しんだ外為ディーラーも職場に戻り、また様子見の時期を経た後、それぞれその年の新しいポジションを作り始めます。外国為替市場は大よそこういう1年を歩むので、個人投資家の方々もこのサイクルに合わせてポジションを持つのが賢明ではないでしょうか。 つまり、1~3月は様子見の時期、4~9月は主戦場、10~12月は総決算の時期と3期ほどに分けて考えて、主戦場期に現れることの多い大きなトレンドに乗れるように努めてみてはいかがでしょうか。

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